旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
だとしてもこの状況――私の認識では誘拐だけれど、逆上が怖かったからとはいえ自らこの車に乗り込んだ私は、本当に警察の保護対象に当てはまるのだろうか。
歯がゆくて堪らない。
あと少し家の前で時間を稼げていたなら、和永さんの迎えが間に合ったかもしれないのに。
「てか薫子ちゃん、かなり変わったよね」
考え込む私をバックミラー越しに眺めながら、比留川が口を歪めて話しかけてくる。
喋りたくない。でも、機嫌を損ねさせたらなにをされるか分からない。震える指を無理やり拳にして握り締め、私は、取り急ぎ会話を成立させるためだけに口を開く。
「……なにがですか?」
「なにがって、そんなはっきり自分の意見言えるようになったんだな~って。あの頃はあんなに〝私、親の言いなりの箱入り娘です〟って顔してたのに」
嘲笑交じりの声が、緊張と恐怖に揺さぶられている私の神経を一層逆撫でする。
この男は私を侮辱したがっている。あるいは、かつて破談に至った私が結婚して家庭を持っていることに苛立っているのかもしれなかった。どちらにしても、子供の八つ当たりじみた幼稚な反応だ。
顔に不快感が滲み出てしまわないよう、私はさらに強く唇を噛んだ。
歯がゆくて堪らない。
あと少し家の前で時間を稼げていたなら、和永さんの迎えが間に合ったかもしれないのに。
「てか薫子ちゃん、かなり変わったよね」
考え込む私をバックミラー越しに眺めながら、比留川が口を歪めて話しかけてくる。
喋りたくない。でも、機嫌を損ねさせたらなにをされるか分からない。震える指を無理やり拳にして握り締め、私は、取り急ぎ会話を成立させるためだけに口を開く。
「……なにがですか?」
「なにがって、そんなはっきり自分の意見言えるようになったんだな~って。あの頃はあんなに〝私、親の言いなりの箱入り娘です〟って顔してたのに」
嘲笑交じりの声が、緊張と恐怖に揺さぶられている私の神経を一層逆撫でする。
この男は私を侮辱したがっている。あるいは、かつて破談に至った私が結婚して家庭を持っていることに苛立っているのかもしれなかった。どちらにしても、子供の八つ当たりじみた幼稚な反応だ。
顔に不快感が滲み出てしまわないよう、私はさらに強く唇を噛んだ。