旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「和永さんは、今日のお仕事は?」

 平日、この時間まで彼が家に残っていることはまずない。おそるおそる尋ねると、ベッドの横に膝をついた彼に、すっと髪を撫でられる。

「休んだ。今日君の傍にいなかったら、一生後悔する」

 後悔〝するかも〟ではなく〝する〟という断言が、ことさら私の涙腺を刺激する。
 あなたはいつもそうだ。私に対して曖昧な言葉を使わないし、嘘もつかない。なにより、私よりも仕事を選ぶと明言していたあなたが、私のためだけにそんな選択を……言葉にならず、ただきつく唇を引き結ぶ。

「……薫子?」

 返事の代わりに無言で首を横に振りながら、私はあなたの腕を引いてベッドの中に引きずり込む。本当なら私の力なんかではびくともしないだろうに、薄く笑ったあなたはされるがままだ。
 隣に横になったあなたへ、瞼を下ろすことなく自分から口づける。あなたは心地好さそうに目を細めてキスに応じてくれて、けれど何度かに角度を変えて唇を重ねた後、おもむろに唇を離した。

 照れくさそうな様子で目を逸らしたあなたの顔を、私はしぶとく見つめ続ける。
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