旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「……なんで?」
それまで穏やかだった彼の表情が、あからさまに硬くなる。
どうしてそんな反応なんだろうと首を傾げたものの、すぐに理解した。和永さんの顔に、今さらあの紙切れになんの用があるんだ、とはっきり書いてあったからだ。
「あっ違うんです、そうじゃなくて」
大袈裟なくらい大きく両手を振った私は、慌てて否定の意を示す。
「別に手元に置いておきたいわけじゃなくて、あの紙、私はもう記載済みですし、和永さんがその気になったらいつでも提出できちゃうから……それは困るかもって……」
声は図らずもどんどん尻すぼみになって、本当に身勝手なことを言ってるな今の自分は、と苦い気分になる。そもそも、先に記載済みの離婚届を和永さんに押しつけたのは私自身なのに。
このひと月で発言が二転三転している自覚はある。けれどおずおずと尋ねた私とは対照的に、和永さんは、なぜかぽかんと口を開けたきり固まっていた。
(珍しい顔してる……)
そんな顔をさせるほど、私はなにか妙なことを言ってしまっただろうか。
緊張が背筋を伝った矢先、話が見えないとばかり、和永さんは派手に眉をひそめた。
それまで穏やかだった彼の表情が、あからさまに硬くなる。
どうしてそんな反応なんだろうと首を傾げたものの、すぐに理解した。和永さんの顔に、今さらあの紙切れになんの用があるんだ、とはっきり書いてあったからだ。
「あっ違うんです、そうじゃなくて」
大袈裟なくらい大きく両手を振った私は、慌てて否定の意を示す。
「別に手元に置いておきたいわけじゃなくて、あの紙、私はもう記載済みですし、和永さんがその気になったらいつでも提出できちゃうから……それは困るかもって……」
声は図らずもどんどん尻すぼみになって、本当に身勝手なことを言ってるな今の自分は、と苦い気分になる。そもそも、先に記載済みの離婚届を和永さんに押しつけたのは私自身なのに。
このひと月で発言が二転三転している自覚はある。けれどおずおずと尋ねた私とは対照的に、和永さんは、なぜかぽかんと口を開けたきり固まっていた。
(珍しい顔してる……)
そんな顔をさせるほど、私はなにか妙なことを言ってしまっただろうか。
緊張が背筋を伝った矢先、話が見えないとばかり、和永さんは派手に眉をひそめた。