旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
     *


「ただいま」
「あ、おかえりなさい」

 玄関へ夫を出迎えに行く。
 最近は、心持ち帰りが早い印象がある。

「今日は無理してないか?」
「はい、もちろん。さっきまで母が来てて」

 心配そうにお腹を眺めた後、彼の視線はやはり心配そうに私の顔に向いてくる。
 母はどちらかというと毎回嬉しそうにお腹を眺めてくるけれど、和永さんはどうしても心配が勝つらしい。最近は特に顕著だ。
 いつも私よりも彼のほうが焦っている。自分ではまだまだ健康体だし日常生活に支障はないと思っている分、なんとなく申し訳なくなる。

 ソファに腰かけながら、私は「まだ大丈夫ですよ」と手をひらひらと振ってみせた。

「健診でも順調すぎるくらい順調だって言われてますし、そんなに心配しないでください」
「いやこの大きさならいつなにが起きてもおかしくないだろう、君はもう少し緊張感というものを……」
「あ、動いた。撫でますか?」
「撫でる」

 お説教めいた口ぶりは一瞬で鳴りを潜め、和永さんはソファに腰かける私のお腹にそっと手を伸ばしてきた。
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