旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「……は……」

 これ以上は考えたくない。首を横に振り、私は自分の思考を強引に遮った。
 今の私がやるべきなのは、今日着ていく服を選ぶことだ。昨晩のうちに二着まで絞っておいた候補の服を見比べながら、私は気持ちを無理やり切り替える。

 時刻は午後三時半。遅くとも五時までには戻ると伝えられている。
 私はといえば、全休を取ってしまった以上午前から暇を持て余していた。珍しく作り置きに精を出す気にもなれず、とにかくそわそわと落ち着かないまま今に至る。結局、着ていく服さえまだ決めきれていない始末だ。

 クローゼットから取り出したのは、花柄のロングワンピースが一枚。
 パステルカラーのそれをじっと見つめ、うーん、と私はつい唸ってしまう。

 昨日はこういう、明るい色の女性らしいシルエットの服がいいかと思ったのだけれど、少々華やかすぎるかもしれない。
 動きやすいパンツスタイルのほうが良いかも、とワンピースから目を逸らし、今度は衣装ケースから何点かブラウスとパンツを取り出してみる。

 手に取ったのは、白のノースリーブブラウスとベージュのワイドパンツだ。
 バックの平紐リボンがワンポイントになっているブラウスは、特にウエストラインがすっきり綺麗に見える。可愛さと大人っぽさ、どちらも感じられるのが気に入って購入したものだ。
< 70 / 244 >

この作品をシェア

pagetop