旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
極めつけは、叔父のその話に、いつの間にか母がウキウキで乗っていたことだ。
母が断るだろうと油断していた私の耳に再び同じ話題が届いた頃には、すでにこの店の予約も、振袖の新調も、着付けの予約も、あらかた済んでいたみたいだ。
(ふたりの悪いノリ、全部滲み出ちゃった席って感じ……)
ふたりの勢いに、私はまんまと巻き込まれてしまった。
もちろんそれは相手も同じこと。久々に再会した元上司が酒の席で切り出してきた、元上司自身の姪とのお見合い話……引き受けざるを得なかったのだろう。
叔父は、彼がこのお見合い話に前向きだと言っていた。けれど私にはそうは思えない。
どう考えても建前だ。少なくともさっきの席で、私と結婚したがっている印象は毛ほども受けなかった。もちろん、母と叔父が退室して間もなく、ふたりの勧め通りに部屋を出て庭を歩いている今も。
(……気まずい……)
相手は無言を貫いている。私も、社交辞令の天気の話以外なにも喋れていない。
申し訳なさと気まずさで、ただでさえ帯に締めつけられて苦しいお腹がきゅうきゅうと痛みを訴えてくる。
母が断るだろうと油断していた私の耳に再び同じ話題が届いた頃には、すでにこの店の予約も、振袖の新調も、着付けの予約も、あらかた済んでいたみたいだ。
(ふたりの悪いノリ、全部滲み出ちゃった席って感じ……)
ふたりの勢いに、私はまんまと巻き込まれてしまった。
もちろんそれは相手も同じこと。久々に再会した元上司が酒の席で切り出してきた、元上司自身の姪とのお見合い話……引き受けざるを得なかったのだろう。
叔父は、彼がこのお見合い話に前向きだと言っていた。けれど私にはそうは思えない。
どう考えても建前だ。少なくともさっきの席で、私と結婚したがっている印象は毛ほども受けなかった。もちろん、母と叔父が退室して間もなく、ふたりの勧め通りに部屋を出て庭を歩いている今も。
(……気まずい……)
相手は無言を貫いている。私も、社交辞令の天気の話以外なにも喋れていない。
申し訳なさと気まずさで、ただでさえ帯に締めつけられて苦しいお腹がきゅうきゅうと痛みを訴えてくる。