君の声は痛みをほどく



翌朝、教室に入ると自分の席が見当たらなかった。

困惑していたところに響君の周りに集まる健気な女の子たちが目に入る。

私の席だから声をかけてどいてもらってもいいんだけど、それで睨まれてしまっては私が耐えられない。

時計を見るとまだHRが始まるまで30分ほどあるから仕方なく図書室で時間を潰すことにした。


図書室に着くと誰もいないようで電気が消えたままだった。

電気をつけて迷わず一冊の本を手に取る。

もう何回も読んだ本。

女の子が小学生の頃からずっと好きだった男の子と高校生になって再開して、実は男の子側も女の子のことがずっと好きだった。っていう私が一番好きで、一番現実味がないと思っている恋愛小説。

お互いが相手のことを何年経っても想っているなんて現実であるのかな。

だってその間にすごくいい人と会ってしまえば人は簡単に乗り換えられてしまう、そんな生き物だ。

誰もが芸能人が不倫したとか、浮気が許せなくて殺したとかのニュースを見たことあるはず。

ああいうニュースを見るたびに所詮その程度かって思う。

そこまで愛って軽いものなの?

結婚式で誓ったんじゃないの?あれは全部嘘なの?

もちろん一途な人がいるのもわかる。

でもそれと同じくらい、なんならそれ以上に裏切る人もいる。

そう考えると"あの人"はある意味一途に私のことを愛してくれていたのかもしれない。

そしたら裏切ったのは私の方…?

だめだ…一度考えると抜け出せなくなる…

色々考えてしまったせいで大して読み進めることもできず、本を戻して教室に戻った。
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