宇宙で、推しとウエディング!?
 すると、パーッと人さし指の先端から、細い光が伸びた。
 それをテーブルに向けると、まるで映画のように、ある画像が映し出された。
 それは、この小惑星チロルの地図だ。
「この星マークがついている部分。ここは、ある大きな建物です。ここにゴールに競争する、と言うのはどうでしょう?」
「いいよ! わかりやすいしね」
 わたしは、二つ返事でうなずいた。
「さらに、ここの最上階にあるものを、取ってくるのも、付け足していいですか?」
「うん、もちろん」
「ヒントは、”星形のもの”です」
「”星形のもの”? ふうん、クイズ方式ってわけね。オーケー、わかった!」
 ここで、サカエくんがチロルの地図を見ながら言った。
「ここは、砂の星だ。地面全体が、サラサラの砂におおわれている。人間のシュリには、とても走りにくい。アンドロイドのポピーが、断然有利だな」
「もちろん、私にはハンディを。足に、砂丘には不利な滑りやすい素材の、パンプスフットパーツを装着します。これで、だいぶスピードがおさえられます」
 そんな足パーツが、あるんだ……。
 ポピーはさっそく奥の部屋へ行くと、例のパンプスフットパーツを持って来た。
 イスに腰掛けながら、手慣れた様子で現在の足パーツを外し、パンプスフットパーツをカチャリと装着する。
 パンプスフットと言うだけあって、立ち上がるとさっきのポピーよりも、だいぶ背が高くなった。モデルさんみたいに、スラッとして、足も長くなったように見える。
 これ以外にも、色んなパーツがあるのかな。
 そういえば……ポピーって、製造途中のアンドロイドなんだよね。
 どういうことなんだろう?
 考えていると、ポピーがある紙を渡してきてくれた。
「この星の地図です。どうぞ、シュリさん。お持ちください」
「ありがとう、ポピー! そう言えば、サカエくんはどうするの?」
 わたしたちが競争しているあいだ、ヒマになっちゃうんじゃないかな。
「ポピーのスカイスクーターを借りて、ついていくつもりだ」
「スカイスクーター?」
「地球にはなかったな。空中を走るバイク、だな。これに乗って、きちんをふたりの勝敗を見極める」
 サカエくん。見ててくれるんだ。
 よーし、この勝負負けられない!
 絶対、勝つぞっ!
 ポピーの家の外に出て、わたしたちは態勢をととのえる。
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