宇宙で、推しとウエディング!?
 サカエくんに、少しはわたしのいいところ、見せたかったのに。
 いやいや。落ち込んでる場合じゃない。
 こんなことしてるあいだにも、ポピーは前を進んで行ってる。
 うん! 地図を覚えるのは、とりあえずいいや!
 わたしは、ポピーの行ったほうへと全速力で走り出した。
 地図をそっちのけで走り出したわたしに、サカエくんがスカイスクーターで並走しながら、苦笑した。
「いいのか、地図」
「まずは、ポピーに追いつくのが先」
「行き当たり、ばったりなやつだな」
「それ……いい意味っ? 悪い意味…っ?」
 サカエくんに、これ以上嫌われたくないのに!
 しかし、サカエくんの声色は、おだやかなものだった。
「悪い意味じゃない。こんなところまで連れてきても、お前は混乱もしないし、平気で状況を受け入れてる。俺が言うのもなんだが、普通はもっと戸惑うんじゃないのかと思ってな」
「そういうこと、かあ……」
 まず、嫌われてるわけじゃない、と思いたい。
 まあ、サカエくんが言っているコトの、理由はひとつだけだけどね。
「サカエくんがいるからだよ。優しくしてくれるから、安心していられるんだ!」
「そうか。なら、よかった」
 なんか、やる気出てきた!
 簡単に、サカエくんのお嫁さんの座はわたさないんだからね、ポピー!
「よーし! いくよっ!」
 気合十分で、ポピーを追いかけていたわたしだけど、どうもそう簡単にコトは進んでくれないみたい。
 必死で砂をけりぬいて行くけれど、ポピーのすがたはどこにも見つからない。
 仕方なく、わたしは地図を広げた。
 どっちに向かえばいい?
 右の松の林をぬける?
 いや、それともあの遠くにある、大きなお城のほうへ行けばいいのかな……?
「シュリ。あの城が、ポピーが言っていた、星マークの建物だぞ」
「サカエくん…! 教えてくれるの?」
 感激! もしかして……。
 わたしのこと、チョットは好きになってくれたっ?
「すでに、ポピーと大きく差が開いている。教えたところで、なんの問題もない」
「え」
 サカエくんが、スクーターの液晶に表示されている地図を指さす。
 そこには、現在のポピーの位置情報が、転送されてきているようだった。
 お城がある位置をしめしているピンのちょうど上で、赤いアイコンがパカパカと点滅している。
「なんで、こんなことわかるのっ?」
< 20 / 35 >

この作品をシェア

pagetop