次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
 ――本当に長い一日だったわ……。

 鞄を抱え、朝日に照らされた街を歩いていく。
 また明日には次のシフトに入らなければならないけれど、当直を終えたあとの解放感はすがすがしいものだ。
 それに、あと三日働けば二日の休みがある。
 最近はバタバタして、二日連続の休みなんて取れていなかったから貴重だ。

「そういえば、たっちゃんの休みっていつだろう……」

 あまりそういう話はしたことがないし、いつもホテルでしか顔を合わせていない。
 それでも満足だけれど、少し欲が出てきてしまった。

 ――連絡してみても……許されるよね。

 最寄りの地下鉄の駅まで向かいながら、携帯を取り出してちまちまとメッセージを打つ。

 今度、予定を合わせてどこかに行かない?

 たったそれだけを送るのに、私は何度も何度もメッセージを消しては打ち直した。
 気付けば地下鉄のホームまで降りている。
 人のことを想う時間はあっという間だ。溶けるように時間が過ぎている。

 私はやってきた地下鉄に乗り込むと、充足感を覚えながら端っこの席に座って目を閉じた。
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