次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「どっちにしよう……」

 フルーツがたっぷり乗ったタルトもチョコレートで覆われたオペラも、どちらもおいしそうだ。
 うんうん迷っていると、彼がプッと吹き出した。

「そんな真剣に悩む?」
「だって……」
「じゃあ、半分こにしよう」

 彼からの提案に頷き、まずはフルーツタルトからいただく。
 フォークで一口サイズに切り分けて口に運ぶと、フルーツの爽やかな甘みが鼻に抜けた。カスタードクリームはくどくなくて、フルーツの甘みを引き立てる味になっている。タルト生地もほろほろしていて、とてもおいしかった。

「ん〜〜おいしい!」
「よかった。こっちもおいしいよ」
「本当?」

 勧められたオペラにもフォークを入れ、小さく切り分けたものを口に入れる。
 今度は濃厚なチョコレートの味が口いっぱいに広がった。

「おいしい! どっちもおいしい」
「うん、こっちもおいしいな」

 夕飯を食べたばかりだというのに、甘い物がどんどん進む。
 彼が入れてくれた紅茶もおいしくて、夢中になってケーキを頬張った。

「たっちゃんはもういいの?」
「うん。柚希のおいしそうに食べてる顔を見るほうがいいし」

 彼が目尻を緩めて、私のことを見る。こうして見られながら食べるのは恥ずかしかった。
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