次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
03 コンシェルジュのお仕事
 ロイヤル・ローズ東京のコンシェルジュは、常に完璧を求められる。
 フロントスタッフで下積みを終えたのち、最優秀社員賞を与えられた者、かつ試験を受けなければ、コンシェルジュと名乗ることができないからだ。

 私は三年前、新人の中から選ばれる最優秀社員賞にノミネートされた。そして半年前、コンシェルジュになるための試験を受け、めでたく採用されるに至った。

 私はホテルの仕事が大好きだ。二十四時間、三六五日、一日たりとも休まずに稼働し続ける不夜城で働くなんて気が狂っている、と思われることもあるけれど、慣れてしまえば大したことない。
 それに、日々特別な体験を求めてホテルにやってくるお客様をおもてなしすることは、私の性に合っていた。

 コンシェルジュとして働く私に、予定調和な日々は存在しない。お客様が変われば、要求されることも変わるからだ。
 だから、飽きがこない。時々、無理難題を言われることもあるけれど、だからこそやりがいに繋がっていた。

 そんなコンシェルジュの一日は、フロントの横にあるコンシェルジュカウンターで、お客様の来訪を見届けることから始まる。

 全スタッフ、役職に関わらずお客様からの要望を聞くという決まりがあるが、それでは解決しないような難しい問題が私のところにやってくる。
 また、直接コンシェルジュカウンターに電話がかかってくることもある。電話をかけられるのは、会員ランクがゴールド以上のお客様だけで、発行した会員カードの裏にコンシェルジュ直通の番号が記載されている。

 目の届く範囲でトラブルが起きたり、フロントスタッフから依頼を引き継いだりしていない限り、私たちコンシェルジュはその依頼電話を待つことになる。

 私はいらっしゃいませ、と深々とお辞儀をしながらも、いつ鳴るかも分からない電話に神経を尖らせていた。
< 21 / 150 >

この作品をシェア

pagetop