次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
 さっきの騒動から、まだ数時間と経っていないというのに、こうして私を呼び出してきた意図が分からない。
 達成さんのことは幼馴染として好きだし、もちろん社長という立場にいる彼のことは尊敬している。一従業員として、ホテルに奉仕したい気持ちもある=彼のために手足となって働きたいという意志もある。

 だけど、少し特別な仲だからといって、贔屓されることはあってはならないと思う。

 この経営推進室は、一般企業であるところの社長室だ。
 今までの社長はほとんどホテルにおらず、代わりにこの部屋を使用するのは、総支配人やその幹部の人たち、そして何らかの企画推進に関わるスタッフたちだけだった。

 私ですら、あまり呼ばれたことがない。だからこそ、この呼び出しには身構えてしまう。

「僕だって、公私混同はしませんよ。宮園さんは、再来月末に行われる創立記念パーティーの企画推進委員会に選ばれているでしょう? なんでも、そのリーダーを務めているとか」

 ロイヤル・ローズ東京は、今年の十二月をもって創立百年を迎える。私は、その推進委員に選ばれていた。

 そのうち、毎回新人と先輩がタッグを組んでリーダーをすることになっている。委員会に所属する一番若い社員が新人としてリーダーに選ばれることは確定であり、私は例に漏れずそのリーダーに選ばれていた。
 ちなみに、もう一人いるリーダーの先輩はオフだ。だから私が呼ばれたのだろう。

 達成さんはデスクの上にある分厚いファイルを捲った。
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