次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
05 執拗な嫌がらせ
 達成さんが来てからどうなることかと思ったけれど、コンシェルジュの仕事自体は順調だった。
 彼が来てすぐの頃みたいに、直接カウンターの電話から呼び出されることもない。
 だけど、この二週間、私の身には様々なことが起こった。

「おはようございます」

 ホテルマンにとって朝昼夜の概念はなく、常に更衣室に入るときは、おはようございます、で挨拶が統一されている。
 今日は夜からのシフトだったため、十八時を回ってからの出勤だったのだけれど、いつものように挨拶したところスタッフから無視された。
 私の方にちらりと視線を寄越すのみで、誰も挨拶をしてくれない。

 きっと、達成さんとの関係を面白く思っていないのだろう。先輩からも嫌みを言われたが、きっと同じことを思うスタッフも多いはず。
 そのせいか、揃いも揃って私の挨拶は無視された。

 ――婚約破棄したってだけでも噂の的だもの。仕方ないよね……。

 婚約破棄だけなら周りも私に同情してくれただろう。ホテルという性質柄、シフトの被りやオフの被りが少なく、あまりスタッフと食事に行くこともないけれど、傷心した私を気遣って外へ連れ出してくれるスタッフもいたかもしれない。

 だけど、婚約破棄した直後に新しい彼氏ができたとなっては話が違う。
 元々の婚約者がいながら浮気していたのではないか、あの涙は嘘なのではないか、といった憶測が飛んでいた。
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