次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
 おまけに、新しくできた恋人はこのホテルの社長。そして、誰が見ても惚れ惚れしてしまうほどの美丈夫。
 嫉妬を買うのは当然で、挨拶を無視されるだけならば、まだ可愛い方だ。
 こんなことでいちいち悲しんでいたら、業務に差し支えてしまう。

 気を取り直して自身のロッカーへ向かい、制服に着替えていたときだった。
 ふと、スカーフがないことに気が付いて手を止めた。

「あれ、スカーフ……」

 ごぞこぞとロッカーの中をあさるも見つからない。
 業務中にスカーフを外すことはないため、あるとしたらロッカーの中だけなのだ。それなのに、ロッカーのどこを探してもスカーフが見つからない。

「すみません。私のスカーフ、誰かのロッカーに紛れていませんか?」

 もしかしたら誰かのロッカーに……と有り得もしないことを考える。すると、周りのスタッフは一斉に目をそらし、くすくすと笑った。

「…………っ」

 この反応、スカーフの紛失は意図的に作られたものだ。
 そう思った私は、更衣室の中央にあるソファーの下やロッカーの上を探した。
 そうして一通り確認したのち、ゴミ箱に目を留める。

 さすがにこんなところにはないはず、とみんなの良心に期待したけど、そのまさかだった。
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