次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「そんな…………」

 私のスカーフが、ぐしゃぐしゃに丸められて捨てられている。このスカーフは私にとって、憧れそれのものだった。
 コンシェルジュにしかつけられない柄のスカーフであり、私はこのスカーフをつけるためにも頑張ってきたのだ。

 そんな、憧れの象徴がゴミ箱に捨てられている。しかも、スカーフを捨てた上から他のものまで捨てられており、飲み物のシミや食べ物のカスがついていた。

「……誰ですか? 私のスカーフを捨てたのは」

 さすがに許せなくて、ぐしゃぐしゃのスカーフを手に周りへ問いかける。だけど、名乗り出るものはいなかった。それどころか、またクスクスと笑われた。

「あなたが自分で捨てたんじゃないの?」
「そうよ、私たちを疑うなんて!」
「そもそも、それをつける資格なんてないんじゃないの? 社長の愛人に勤しんでいるようだし」

 周りから言われた心無い言葉に、苛立ちと悲しみが湧く。
 だけど、ここで怒っても糾弾されるのは私だ。ここに私の味方なんて、誰ひとりとしていない。
 私はスカーフを手に、急いでランドリールームへ向かった。
< 42 / 150 >

この作品をシェア

pagetop