次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
 ランドリールームはホテルの備品――シーツやタオルなど――を洗濯し、管理する部門と、お客様の服を扱う部門で分かれている。
 私はお客様の服を扱う部門の方へ向かい、事情は伏せてスカーフを洗いたいこと、アイロンがけをしたいことを伝えた。

「分かりました。かなり薄い物ですし、三十分ほどでお渡しできるかと」
「ありがとうございます!」

 スカーフに予備はない。失くすことはあってはならないし、取り違えがないようにコンシェルジュひとりにつき一枚だ。
 三十分ほどで手元に戻ってくるのであれば、シフトに入る時間にも十分間に合う。

 そう思って胸を撫で下ろしたのも束の間、シフト前なのにインカムで名前を呼ばれた。

「宮園さん、二二〇五室の小野瀬様からの呼び出しに向かっていただけますか」
「小野瀬さんの……ですか?」
「えぇ、よろしくお願いいたします」

 プツッと音声が途切れ、インカムが静かになる。
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