次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「お客様。少々、おいたがすぎるようで」
「は?」

 男が呆気に取られている間に、何者かによって突き飛ばされる。驚いて後ろを見たら、達成さんが立っていた。

「どうして……」
「あなたが少し早く出勤して、更衣室に入って行くところを見まして。シフトまでまだ時間がありましたので、改修工事のことを相談しようかと思ったのですが……。どのスタッフに聞いても居ないと言われてしまい……。もしやと思い、コンシェルジュカウンターのコール履歴を調べたら、この部屋からだったものですから」

 達成さんに上半身を抱かれ、床から引っ張り上げられる。なんとか立ち上がって達成さんにお礼を言おうとするも、彼は見たこともない顔でお客様を睨んでいた。

「当ホテルではスタッフによるリラクゼーションサービスは行っておりません。また暴力行為も禁止です。申し訳ございませんが、小野瀬様の会員証は本日を持って無効です」
「はぁ!? ふざけんなよ! この女が俺のことを苛立たせたのが悪いんだろうが!! それに、俺はVIP会員だぞ! 金だって落としているんだ」
「お金さえ払えば何でも許されるとでも? そんなわけないでしょう」
「うるせぇ! お前にそこまでの権限なんてないくせに!」
「いいえ。国内外問わず、ロイヤル・ローズの出入りを禁じます。私が、ロイヤル・ローズ東京の社長ですので」

 それを聞いた男がわなわなと震えだし、めちゃくちゃに手を振り回して突進してくる。明らかに私の方へとやってくる男にギュッと目を閉じるも、いつまで経っても衝撃は来なかった。
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