次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
06 静かな胸のうち
※※※
彼女を送り出したあと、俺は人知れずため息をついた。
「早く、自分のものになればいいのに……」
幼馴染である彼女をホテルのラウンジで見かけたとき、運命だと思った。
宮園柚希は自分にとって、初恋の相手だ。彼女とは、まだ日本にいた頃、近所の公園で出会った。
見知った友だちもおらず、かといって一人遊びをするにも遊具を譲ってもらえる気配もなく、手持ち無沙汰にしていたところ、彼女から声を掛けられたのだ。
「あなた、ひとりなの? だったら、いっしょにあそぼう!」
にっこりと笑った柚希の屈託のない笑顔に、心臓を鷲掴みにされた。
幼少期の男なんて単純で、優しくされたらコロッと靡いてしまう。その頃の俺も例に漏れず、柚希の愛らしさに落ちてしまった。
それに、その頃の俺はあまり友だち作りが得意ではなかった。
幼稚園から一緒にいる子の親たちは、俺の家が名だたる有名ホテルの経営一族だと知ると、何かあっては困るからと俺から距離を取るようになった。
子どもの頃は、自分の置かれている状況を理解できず、自慢のように自分の家のことを話していたのだ。
だけど、それは俺にとって呪いのように人を遠ざけた。
だからこそ、彼女に話しかけられたとき、当時の俺は久しぶりに声をかけられて嬉しかった。
だけど、素直になれない俺は好きの裏返しで彼女に意地悪してしまうこともしばしばだった。
彼女は俺に対して「たっくんのイジワル!」と言いつつも、なんだかんだ優しくしてくれて、別れる最後の日まで俺と一緒に遊んでくれた。
きっと、彼女の中で俺は特別な男でもなんでもない。もしかしたら、嫌いとまでは思っていなくとも、疎ましく思っていたかも……。
子どもながらそんなふうに思いつつも、俺は最後だからと彼女に想いを告げた。
彼女を送り出したあと、俺は人知れずため息をついた。
「早く、自分のものになればいいのに……」
幼馴染である彼女をホテルのラウンジで見かけたとき、運命だと思った。
宮園柚希は自分にとって、初恋の相手だ。彼女とは、まだ日本にいた頃、近所の公園で出会った。
見知った友だちもおらず、かといって一人遊びをするにも遊具を譲ってもらえる気配もなく、手持ち無沙汰にしていたところ、彼女から声を掛けられたのだ。
「あなた、ひとりなの? だったら、いっしょにあそぼう!」
にっこりと笑った柚希の屈託のない笑顔に、心臓を鷲掴みにされた。
幼少期の男なんて単純で、優しくされたらコロッと靡いてしまう。その頃の俺も例に漏れず、柚希の愛らしさに落ちてしまった。
それに、その頃の俺はあまり友だち作りが得意ではなかった。
幼稚園から一緒にいる子の親たちは、俺の家が名だたる有名ホテルの経営一族だと知ると、何かあっては困るからと俺から距離を取るようになった。
子どもの頃は、自分の置かれている状況を理解できず、自慢のように自分の家のことを話していたのだ。
だけど、それは俺にとって呪いのように人を遠ざけた。
だからこそ、彼女に話しかけられたとき、当時の俺は久しぶりに声をかけられて嬉しかった。
だけど、素直になれない俺は好きの裏返しで彼女に意地悪してしまうこともしばしばだった。
彼女は俺に対して「たっくんのイジワル!」と言いつつも、なんだかんだ優しくしてくれて、別れる最後の日まで俺と一緒に遊んでくれた。
きっと、彼女の中で俺は特別な男でもなんでもない。もしかしたら、嫌いとまでは思っていなくとも、疎ましく思っていたかも……。
子どもながらそんなふうに思いつつも、俺は最後だからと彼女に想いを告げた。