次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています


 一夜明けた今日。

 随分とゆっくりとした朝だった。
 こんなにたくさん寝たのは久しぶりかもしれない。彼の腕に抱かれて眠るのは心地がよかったらしく、疲れもしっかり取れていた。

「んーーっ、いっぱい寝た」

 ぐぐっと伸びをして、隣で眠っている彼を見る。だけど、眠っているはずの彼は目を開けていた。

「起きてたの!?」
「えぇ、一時間ほど前から」
「一時間!?」

 一体、その間、なにをしてたんだろう。ただベッドにいるなんてつまらないはず……と思ったが、彼はやけに満足そうな顔をしていた。

「おはよう、柚希」
「おはよう」

 ふにゃりと目尻を和らげて私を見る彼に、昨日のこともあってムズムズとした気持ちになる。
 一人暮らしを始めてから、誰かにおはようを言うことも、言われることもなかった。
 だからなのか、余計にむず痒い気持ちになる。

「柚希はゆっくり寝ていて。チェックアウトは遅めにしたから」
「ありがとう……」

 まだ頭がぼんやりとするのは、昨日飲んだアルコールが抜けきっていないせいだろう。頭痛や吐き気はないものの、体の怠さは残っていた。

「達成さんは?」
「俺はもう行くよ。さすがに今日は仕事があるからね」

 ベッドを降り、シワの入ったシャツを伸ばしながらチェストの上に置いていたネクタイを掴む。
 ネクタイ、ベルト、腕時計、最後にジャケットを羽織ったら、仕事モードの彼に戻った。
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