次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「宮園さん。至急、二十五階へ」
「へ……? 二十五階ですか?」
「はい、社長がお呼びです」

 別のコンシェルジュからの連絡に、私は首をかしげる。

 過去に社長から呼ばれることはあったけれど、二十五階まで来るように言われたことはない。
 何か急用だろうか、とやってきたエレベーターに乗り込むと、二十五階のボタンを押した。
 この時間だと、あまりエレベーターの動きもなく、人と鉢合うこともないまま目的の階まで移動できてしまう。

 私は誰もいない二十五階に降りると、真っ直ぐ達成さんの部屋を目指した。
 相変わらず上質な絨毯がヒールを深く沈める。

 彼の部屋まで近付くと、何やら人の声がした。

「お待たせしました。宮園です」

 チャイムを押し、ドアを数回ノックする。
 すると、中から現れたのは達成さんではなく、今朝の彼女だった。

「宮園さん、待っていたわ。この部屋の内装を変えたいの。寝室のシーツとソファーカバー、テーブルクロスも変えたいわ」
「はあ……」
「あとカーテンも! 明るいものにしたいわ」

 彼女の依頼に、私は脳みそがフリーズする。
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