愛とプライドとバベルの塔
「主任、これはどうなの?!わたし納得いかないんだけど!全然仕事は進まないし、もう一人くらい人員補充してよ。」
わたしがそう言うと、竹内主任は「まぁまぁ。」とわたしを宥めつつ、「いやぁ、俺も課長に頼んではいるんだけど、十一月になれば、サイクルが閉鎖するから、それでサイクルの人たちが三階に来るわけだから、人員は足りるだろって。」と溜息をついていた。
竹内主任は、社内では"イケメン主任"として有名で、わたしは最初30代後半くらいかな?と思ったのだが、実際には50手前と聞いて驚いた。
そんな竹内主任は話しやすく、相談にも乗ってくれるし、愚痴も聞いてくれるので、休憩時間に話を聞いてもらったりしているのだった。
「もう、何にも分かってない!足りてないから!本当課長は売場見てないからわからないんだよ!」
「いやぁ、本当に小田桐さんは頑張ってくれてるよ。でさ、小田桐さん。試験受ける気ない?」
竹内主任の言葉に「えっ?試験?」と訊き返す。
「今、小田桐さんは職務Ⅰだろ?その職務Ⅱの試験を受けて合格すれば、時給上がるよ。」
「え、本当?難しい?」
「んー、、、昔は簡単だったけど、今は段々難しくなってきたって聞いたなぁ。」
「えぇ~、、、受かるかなぁ。筆記とかあるの?」
「筆記と面接ある。」
「うわぁ〜!面接無理ー!緊張する!」
そんな話をしていると、バックルームの奥から誰かが歩いて来た。
よく見ると、それは阿久津さんだった。
「おう、阿久津くん。お疲れ。」
「お疲れ様です。何話してたんですか?」
「小田桐さんの愚痴聞いてた。」
竹内主任がそう言うと、阿久津さんは苦笑いを浮かべ「あぁ、、、」と呟いた。
「ありゃ、愚痴ってないとやってらんないよな。」
「ですよね?!酷いと思いません?!HDの仕事は知らんぷりのくせに、HFの仕事は手伝えって!」
「俺も腹立ってるよ。」
すると、竹内主任が「南田さんに相談してみようか?」と言い出し、阿久津さんとわたしは「はぁ?!」と声を揃えて言い、その声はバックルームに響いた。