愛とプライドとバベルの塔

それからわたしは、数日後にその話を竹内主任に相談した。

すると、竹内主任は猫被りの南田さんがそんな噂を流すだなんて信じられないという様子で、わたしに「それ、本当なの?黒松さんが勝手にそう思ってるだけじゃなくて?」と言った。

「じゃあ、直接、黒松さんに訊いてみてよ。わたしは、南田さんから聞いたって言われたんだから。」
「え、、、南田さんが、そんな、、、えぇ?」
「南田さんって、そんな信頼あるんだ?」
「だって、HFで頑張ってくれてるだろ?」
「そう思うなら、今度こっそり売場見に来てみたら?」
「なんで?」
「南田さんの本性が分かるから。」

わたしの言葉に竹内主任は少し疑いを持ちつつも「分かった。」と言い、その数日後に文房具売場の陰から一緒に南田さんを観察してみるこてにしたのだった。


そして、その南田さんを観察する日。

南田さんは13時からの出勤で、わたしは出勤を確認してから最上階の事務所へ向かい、竹内主任を手招きして呼んだ。

「南田さん来た?」
「うん。」
「そんじゃ、その本性とやらと見せてもらおうか。」

そう言って、わたしは竹内主任と文房具側の扉からではなく、玩具売場側の扉から売場に出て、南田さんに見つからないように文房具売場の棚の陰へ移動して、観察を開始した。

すると、南田さんは早速いつも竹内主任に見せるニコニコ顔ではなく、嫌味な表情を浮かべながら何か細村さんに何か指示をしているようだった。

その後は、指示書らしき数枚の紙を高井さんに渡していて、きっと処理しておくように指示したのだろう。

それから、レジ当番のはずの南田さんは高井さんをレジに残し、どこかへと行ってしまった。

「どう?これ見て。今のレジ当番、南田さんのはずなんだよ?」
「え、これがいつもなの?」
「だから、前から言ってるじゃん!」

竹内主任は狐につままれたような表情で、南田さんがどこに言ったのかを身を隠しながら探し始めた。

すると、南田さんはダイニング売場の裏で隣の紳士売場の仲良い渋澤さんとお喋りをしていたのだ。

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