愛とプライドとバベルの塔

「何してんの?」

突然後ろから声が聞こえ、竹内主任と同時に後ろを振り返ると、そこには阿久津さんの姿があった。

「南田さんの観察です。竹内主任は、南田さんのことを信頼してるって言うので、本性を見せてあげようと思って。」

わたしが阿久津さんにそう言うと、阿久津さんは「あぁ。」と言ったあと、竹内主任に向かって「で、本性見てどうだった?」と訊いた。

竹内主任はしばらく黙り込み、それから「これは、いかんな。」とひとこと言い、わたしは自然的に阿久津さんと目が合った。

「でも、わたしらが不倫してるって広まってるみたいだけど、それはどうするの?」

わたしが竹内主任にそう訊くと、いつも能天気な竹内主任が珍しく表情を曇らせ「実は、、、課長にも言われたんだよ。」と言った。

「え?!課長にまで?!」
「南田さん、課長にゴマすりまくりだからなぁ。」

阿久津さんがそう言ったあと、竹内主任は「ちょっと課長に報告してくる。」と言い、課長がいる最上階の事務所へと向かって行った。

「これで南田さんに天罰が下ればいいなぁ。」

そう言いながら、阿久津さんは腕を組んだ。

「どうですね、、、。課長も南田さんを信じ切ってますからね。」
「まぁ、竹内主任が本性を暴いてくれるだろうから。あとは、どうなるのか待つしかないな。小田桐さんは働きづらいかもしれないけど。」
「まぁ、、、でも、阿久津さんは分かってくれてますし、高井さんも細村さんも南田さんの本性を分かってるし、、、三谷さんも普通に接してくれるので、大丈夫です。」

わたしがそう言うと、阿久津さんは優しく微笑み、「俺は小田桐さんの味方だから!」と言い、ヘヘッと照れくさそうに笑っていた。

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