愛とプライドとバベルの塔

しかし、この時にわたしたちが期待していた"天罰"は、なぜか南田さんではなく、違う人へ向けられたのだ。

「え、、、どうゆうことですか?」

竹内主任の立会の元、蟹江課長に呼び出されたわたしは、蟹江課長から信じられない言葉を浴びせられたのだ。

「いやぁ、小田桐さんが竹内くんと不倫してるって話を耳にしてね。」
「え、それは誤解です!」
「あぁ、竹内くんからも聞いたよ。そんな事実はないって。でも、不倫してる本人たちは大体そう否定するもんだろ?」

蟹江課長の言葉にわたしは思考が停止してしまう。

この人、何言ってるの?

「竹内主任からは、南田さんの話は聞きましたか?」
「あぁ、聞いたよ。でも、その時にたまたま息抜きで話してただけじゃないのかい?」
「違います!それが毎日何ですか!そのせいで高井さんと細村さんは大変な思いをしてるんですよ?!高井さんは特に持病があるので、無理して出勤してきてるんです!」
「まぁ、でも働いてもらわないと困るからね。」
「それは高井さんにじゃなくて、南田さんに言ってください!」

わたしはいくら相手が上司であろうと理不尽なことは大嫌いで、ペコペコして機嫌取りをすることが出来ない為、思ったことをそのまま蟹江課長にぶつけてしまった。

すると、さすがにマズイと思ったのか竹内主任から「小田桐さん、その辺にしときなさい。」と止められた。

「それじゃあ、俺の方から南田さんに話しておくから。ちゃんとみんなで協力して仕事をするようにって。」

蟹江課長はそう言うと、「これでいいかな?じゃあ、仕事に戻っていいよ。」と言われたのだが、それって逆効果なんじゃ?とわたしは不安に思った。

そして、わたしが思った不安は的中することになるのだった。

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