愛とプライドとバベルの塔
そして、わたしが阿久津さんに返信をしてからすぐにLINE電話がかかってきた。
画面には、阿久津さんのLINEアイコンが映し出されていて、わたしは緊張しながらも緑の通話ボタンの方に人差し指でスワイプした。
「はい、、、もしもし。」
「あ、もしもし?小田桐さん?急に電話してごめんね。」
すると、阿久津さんの声を聞いた途端、わたしは涙が溢れ出してきてしまった。
阿久津さんはわたしが泣いている事に気付いたようだが、理由は何も訊かず「こんな時間で申し訳ないけど、、、これから会いに行ってもいい?」と言い、わたしは頭で考える前に自然と「はい。」と涙声で返事をしていた。
それから阿久津さんに住所を伝え、その20分後くらいに家のインターホンが鳴った。
わたしは玄関まで行き、ドアの覗き穴から外を見た。
すると、そこには阿久津さんの姿が見え、せっかく止まっていた涙が再び溢れ出してきてしまったが、わたしは玄関のドアを開けた。
そして、開けた玄関のドアの向こうに居たのは、切なくも優しい表情をする阿久津さんで、片手にはたくさんの物が詰め込まれて膨らんだレジ袋が下がっていた。
「久しぶり。」
そう言って、玄関の中に入る阿久津さん。
それから玄関のドアを閉めると、阿久津さんはわたしを見つめながら「来て早々なんだけど、、、お願いしてもいい?」と言った。
「、、、何ですか?」
わたしがそう訊くと、阿久津さんは「抱き締めさせて?」と言ったのだ。
「え、でも、わたし、、、こんなボサボサで、みっともない格好だし、お風呂にも入ってないから臭いですよ。」
「そんなの気にしない。、、、駄目?」
"そんな気にしない"
こんなみっともない格好のわたしを見て、そう言ってくれたことが嬉しくて、わたしは泣きながら「駄目じゃないです。」と答えた。
すると、阿久津さんは「失礼します。」と言ってから、わたしに一歩歩み寄り、そっとわたしを抱き寄せ、次第に強くギュッと抱き締めてくれた。