愛とプライドとバベルの塔
そして、阿久津さんは小さな声で「会いたかった、、、。」と囁いた。
その言葉にわたしは声を出して泣いた。
そんなわたしをギュッと強く抱き締めながらも頭を撫でてくれる阿久津さん。
ずっと心配してくれてたんだ。
ずっと会いたいと思ってくれてたんだ。
こんなわたしなんかに、、、、
わたしは、もう、、、
誰にも、社会にも必要とされてない人間だと思ってた。
でも、違った。
阿久津さんは、、、
いや、わたしが阿久津さんを必要としていたんだ。
その日から阿久津さんは、休みの日で天気が良い日は一緒に散歩をしてくれ、仕事がある日でも仕事終わりに何か食べ物や飲み物を買って来てくれて、わたしを支えてくれた。
そのうち、わたしたちの間には言葉にしなくても理解し合える信頼と愛が積み重ね、積み上がっていっていた。
気付けば、そんな日が半年経っていて、ある日の散歩の時、さり気なく阿久津さんがわたしの手を握りしめた。
わたしは一瞬驚いたが、その手は温かくて、わたしは阿久津さんの手を握り返し、手を繋ぎながら歩いた。
わたしが復職できるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
それでも、阿久津さんは「俺は小田桐さんの味方だから。一歩進んで、三歩下がったとしても、一緒に居るよ。たまには、立ち止まりながらでも、この手は離さないから。」と言ってくれた。
そんな阿久津さんのことがわたしは好きだ。
でも、それを伝えたことはない。
だって、時には消えてしまいたいと思うこともあるから。
「俺が、小田桐さんを支えていくよ。だから、今のままでもいいから、生きていて。」
―END―