隣の部署の佐藤さんには秘密がある
次の日。改札を出ると佐藤さんが壁と同化して立っていた。近づいても佐藤さんはピクリとも動かない。
「寝てる……?」
佐藤さんの体が徐々に傾いて、咄嗟に支えると、佐藤さんはビクッと体を震わせた。
「っ……なんだ、さき。おはよう。」
「大丈夫ですか?お休みした方がいいんじゃないですか?本城さんに言っときますよ?」
「……行く。連れてって。」
佐藤さんが出した手を私はぎゅっと握った。ちゃんと先導してあげないとぶつかるかもしれない。
「返事できなくてごめん。昨日は遅かったから……クロードへ行ったんだね。」
「はい。すっごく大きいポスターが貼ってありました。」
「大きいんだ……嫌だな。」
「嫌なんですか?」
「自分の顔が大きく出てるなんて嫌でしょ。」
「すごくカッコよかったですよ?」
「さきがそう言ってくれるならいいけど……」
あんなに無双しているのに、自分の顔は嫌いなのか。
「それで、クロードへ行ったついでにサンチェス=ドマーニへ行きまして、これを買ってしまいました。」
私はバッグを持ち上げてストラップを見せた。大切に家にしまっておいても良かったが、佐藤さんとお揃いで買ったのだ。意を決して普段使いすることにした。
「ストラップが出たんだね!」
「新商品だそうです。アクセサリーより値段が手頃だからって言われて買ってしまいました。」
「いいなぁ、俺も行きたい。」
「実は佐藤さんの分もあるんですよ。」
「えっ」
バッグからストラップの箱を取り出して差し出した。
「中を見てください。」
佐藤さんが中身を取り出すと、お揃いのストラップが現れた。
「お揃いなの?」
「ただのお揃いではないんです。ここのハートを合わせると四葉のクローバーになるんですよ!」
「わ、本当だ!ありがとう、元気出たよ。」
佐藤さんは本当に元気が出たらしく、少しだけ背筋が伸びた。
「それから、ピンクのスーツが再販してました。ラインがキラキラに変わっていて……再販って珍しいですよね。」
「そうなんだ。買いに行きたいな……」
「持っていないんですか?」
「俺は持ってるんだけど、知り合いが欲しいって言っててさ。」
「買ってきましょうか?私のところ落ち着いたので、あがれると思います。」
「ほんと!?助かるよ。佐藤に頼まれたで贈り物って言えば、大丈夫だから。」
サンチェス=ドマーニの常連で、レセプションに招待されるような水伊勢家のご子息はやっぱり買い物の仕方が違う。
(そうだ。黒塗りの車のこと聞くの忘れてた。)
(さきに家のこと話してなかった……)
2人は同じことを思っていたが、お互いに言い出せないまま会社へ向かった。
「寝てる……?」
佐藤さんの体が徐々に傾いて、咄嗟に支えると、佐藤さんはビクッと体を震わせた。
「っ……なんだ、さき。おはよう。」
「大丈夫ですか?お休みした方がいいんじゃないですか?本城さんに言っときますよ?」
「……行く。連れてって。」
佐藤さんが出した手を私はぎゅっと握った。ちゃんと先導してあげないとぶつかるかもしれない。
「返事できなくてごめん。昨日は遅かったから……クロードへ行ったんだね。」
「はい。すっごく大きいポスターが貼ってありました。」
「大きいんだ……嫌だな。」
「嫌なんですか?」
「自分の顔が大きく出てるなんて嫌でしょ。」
「すごくカッコよかったですよ?」
「さきがそう言ってくれるならいいけど……」
あんなに無双しているのに、自分の顔は嫌いなのか。
「それで、クロードへ行ったついでにサンチェス=ドマーニへ行きまして、これを買ってしまいました。」
私はバッグを持ち上げてストラップを見せた。大切に家にしまっておいても良かったが、佐藤さんとお揃いで買ったのだ。意を決して普段使いすることにした。
「ストラップが出たんだね!」
「新商品だそうです。アクセサリーより値段が手頃だからって言われて買ってしまいました。」
「いいなぁ、俺も行きたい。」
「実は佐藤さんの分もあるんですよ。」
「えっ」
バッグからストラップの箱を取り出して差し出した。
「中を見てください。」
佐藤さんが中身を取り出すと、お揃いのストラップが現れた。
「お揃いなの?」
「ただのお揃いではないんです。ここのハートを合わせると四葉のクローバーになるんですよ!」
「わ、本当だ!ありがとう、元気出たよ。」
佐藤さんは本当に元気が出たらしく、少しだけ背筋が伸びた。
「それから、ピンクのスーツが再販してました。ラインがキラキラに変わっていて……再販って珍しいですよね。」
「そうなんだ。買いに行きたいな……」
「持っていないんですか?」
「俺は持ってるんだけど、知り合いが欲しいって言っててさ。」
「買ってきましょうか?私のところ落ち着いたので、あがれると思います。」
「ほんと!?助かるよ。佐藤に頼まれたで贈り物って言えば、大丈夫だから。」
サンチェス=ドマーニの常連で、レセプションに招待されるような水伊勢家のご子息はやっぱり買い物の仕方が違う。
(そうだ。黒塗りの車のこと聞くの忘れてた。)
(さきに家のこと話してなかった……)
2人は同じことを思っていたが、お互いに言い出せないまま会社へ向かった。