夜の研究所探検
「今私が読んだ物語の中で、アルトが1番好きだと思ったシーンだよ」
「ええっ、難しいな……」
悩むアルトの様子に、いい課題になりそうだ、とひとりほくそ笑む。
しばらく考えていたアルトだったけれど、ぱっと顔を輝かせた。
「決めた!」
アルトはそう宣言すると、絵画の制作に取り組み始めた──
「できた! 先生、見て見て。ジャジャーン!」
「どれどれ? わあ!」
私がアルトに読み聞かせたのは、少年が夜の小学校に忍びこむ物語だった。
しかし、アルトの描いた絵は背景こそ仄暗いものの、人物の表情はイキイキとしていて、全体的にとても賑やかな印象を受ける。
「これ、お化けたちと出会って友達になる場面だね」
「うん! ねえ、先生はお化けに会ったことある?」
(私、お化けとかそういう類いは一切信じてないんだよなあ。でも、それは伏せておいたほうがいいよね……)
「ううん、ないよ」
「そっかあ。もしかして、お化けに会うのって難しいのかな?」
「すごく難しいと思う。だって、主人公の少年も、最初びっくりしてたでしょう?」
「そっかあ……」
アルトは口を閉じて何か考え始めた。