夜の研究所探検

 こういうときは私も黙って、アルトのことを待つように心がけている。
 この間にも、アルトの知能は成長しているに違いないからだ。

「先生、」
「うん、なあに?」
「ぼくも夜の探検してみたい‼︎」
「ええっ⁉︎」

(それはつまり、外出用端末にアルトを移して、私が夜の学校に忍びこむってこと?)

 しかし、あれはあくまで物語だ。
 実際には施錠されているはずで、無理やり侵入した場合、下手をすれば捕まる可能性だって考えられる。
 もしそうなれば、気に入っているこの新しい職場ともオサラバしなければならないだろう。

「ダメ? ぼく、昼間の研究所しか知らないから、夜の研究所も歩いてみたかったんだけど……」

(あっ、何だ。そういうことね!)

 物語の主人公も、自分の通っている小学校を探検したのだった。
 早とちりして、アルトをシュンとさせてしまったお詫びに、私は大きく笑顔を作った。

「いいよ。今夜決行しよう!」
「本当⁉︎」

 いくつか提出期限の迫っているレポートがある。

(残業して片付けてしまえば丁度いいわ。そのあとで……)

 万歳をして喜ぶアルトを眺めながら、頭の中で今夜の計画を立てた。

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