夜の研究所探検
◻︎◻︎◻︎

 私は、ふうと大きく息を吐いた。
 凝り固まった肩を回しながら時計を確認すると、20時を少し過ぎていた。

(もうこんな時間⁉︎)

 つい、レポートに集中し過ぎてしまったようだ。

「アルト、お待たせ。遅くなっちゃって、ごめんね」
「ううん。研究所探検が楽しみで、先生が今日読んでくれた本を自分でも読み直してたんだ。だから、全然退屈じゃなかったよ」
「わあ、偉い」

 私はキーボードを操作し、アルトをホログラムに出してあげた。

「わあい! すぐ出発する?」
「待って。その前に注意事項を話すから、しっかり聞いてね」

 私の目の前にいる立体のアルトは、首を大きく縦に振る。

「人に見つからないように、こっそり探検するよ。あの物語とそっくりにね」

 こう言ったのには訳がある。
 実は北斗さんに今回の探検について、一切話をしていない。
 アルトの外出にはいつもあっさり許可をくれるけれど、さすがに今回は無理な気がしたからだ。
 残業してまで、夜の研究所内をうろつくだなんて。

 アルトは特に疑問を抱いていないようだった。
 右手を上げて元気よく返事をする。

「わかったー!」

(よし、よし)

「それじゃあ、出発しよう」

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