二人で恋を始めませんか?
彼氏がいるのに?
(これは……、なんかマズイな。このままにはしておけない)

オフィスに戻り、パソコンをカタカタと打ちながら優樹は考え込む。

面談の最後に何気なく聞いてみたあのメモ帳。
まさか1人目で持ち主が見つかるとは。
それはよかったのだが、問題は彼女の反応だった。

(明らかに動揺してたよな。多分、今もまだ)

ちらりと茉莉花に目を向けると、浮かない顔でパソコンに向かいながら、時折小さくため息をついている。

あの時は「それ、私のメモ帳です! ありがとうございました」と急いで受け取っていたが、恐らく中を見られたかどうか気になっているのだろう。
やはり彼女にとっては、恋人のことを綴ったプライベートな内容だったのだ。

(改めて伝えようか、何も見ていないから安心しろと。いや、実際は少し見てしまったが……)

それともこのまま何も触れずに、時間が経つのを待った方が賢明か?

とにかくしばらくは様子を気にかけておくことにした。
< 13 / 148 >

この作品をシェア

pagetop