二人で恋を始めませんか?
優樹が会社に行くと、茉莉花は食器を洗い、部屋の掃除や洗濯を済ませる。

「茉莉花ちゃーん、元気に大きくなーれ」

そう言ってジャスミンの花に水をあげた。

日持ちがする常備菜や煮物を作ると、冷蔵庫に入れる。
ひとり暮らしの優樹の食事は気をつけてほしいと、いつも思っていた。

昼休みになると、優樹から電話がかかってくる。

『茉莉花、ホテルの部屋を取った。夕食のあと、そのまま泊まろう。荷物も待って来て。明日の始発で帰るんだろ?』
「ホテルに泊まれるの? 嬉しい! 分かりました。じゃあ、あとでね」

電話を切ると、早速荷物をまとめた。

(せっかくだから、ディナーに着て行く服も買いに行こうっと)

支度を終えると、名残惜しくリビングを振り返る。

「茉莉花ちゃん、優くんをよろしくね」

ジャスミンの花に笑いかけてから、茉莉花は部屋をあとにした。
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