二人で恋を始めませんか?
「あの、白瀬部長。今少しお時間よろしいでしょうか?」

数日後。
茉莉花は資料を手に、控えめに優樹のデスクに近づいた。

「ああ、どうぞ」
「ありがとうございます。研修の資料を作ってみたのですが、データが上手く作れなくて……。アドバイスいただけないでしょうか?」
「分かった。見せて」
「はい」

茉莉花が手渡すと、優樹は熱心に資料に目を通す。

「うん、なかなかよく出来ている。清水さんは、文系?」
「はい。大学では文学部でした」
「なるほど。君の文章は上手くまとまっていて読みやすい。クライアントに訴えられるだけの説得力がある」
「え……、ありがとうございます」

思いがけない褒め言葉に、茉莉花はドギマギしながら頭を下げた。

「あとは、データ処理だな。これは私が作った資料だ。これを参考にしながら作ってみて」
「えっ、よろしいのですか?」
「もちろん。盗める技術はどんどん吸収していってほしい。その為の研修なんだから」
「はい、ありがとうございます!」

茉莉花は両手で受け取った資料を胸に、笑顔でお礼を言った。
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