二人で恋を始めませんか?
「こんにちは。予約をした白瀬ですが」

約束の時間に桜貝を持ってアクセサリーショップに入る。

「いらっしゃいませ、白瀬様ですね。お待ちしておりました。こちらのテーブルへどうぞ」
「はい」

案内されたテーブルに着くと、40代くらいの女性スタッフは茉莉花の胸元のネックレスに気づいた。

「そちらのネックレス、当店のものですね」
「あ、はい。以前うかがった時に気に入って」
「ありがとうございます。本日はオーダーメイドのご相談ですね。早速、お持ちいただいた桜貝を見せていただけますか?」
「はい、これなんですけど。使えそうですか? 数も少ないし、欠けているものもあって……」

茉莉花は小さなケースに入れて持って来た桜貝をテーブルの上のトレーに載せる。

「欠けていても貝を砕いてつくるタイプもありますよ。あ、でもこの2枚は綺麗ですね。軽く洗ってきますのでお待ちください」

そう言ってスタッフは、桜貝を洗浄してから戻って来た。

「わあ、綺麗な色ですね」

茉莉花はテーブルに並べられた桜貝に身を乗り出す。

「ええ。この2枚は色もいいし形も対になっていてピアスにおすすめです。いかがですか?」
「これがピアスになるんですね、素敵」
「タイプもバリエーションがございますよ。こちらからお選びください」

カタログを見せてもらうと、アメジストやチェリークォーツ、アクアマリンなどと組み合わせたピアスもあった。

「どれにしようか迷っちゃう」

すると優樹が一緒にカタログを覗き込む。

「これはどう?」
「これって、アコヤ真珠?」
「ああ。君のイメージに合うと思う」

茉莉花は照れたように頷いた。

「じゃあ、これでお願いします」
「かしこまりました。仕上がりには3ヶ月ほどお時間をいただきますね」
「はい、よろしくお願いします」

二人でショップをあとにすると、カフェへと向かう。

「どんなピアスになるのかな。楽しみで待ち切れません」

ふふっと笑って優樹を見上げると、優樹も頬を緩めて茉莉花を見つめてから、そっと手を繋いだ。
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