私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
大学でもユキのお弁当袋は人気らしい。

朝2人分を作って、大学に行かない日でも
お昼に食べられるので休みの日以外は
必ず作っている。

ユキはお弁当をものすごく喜ぶ。

ネグレクトの母親だったので食事だって
まともに作ってもらえなかったから
お弁当なんて作ってもらった事は
なかったのだろう。

一緒に暮らし始めて、落ち着いたある日
大学に行くユキに”はい、お弁当“と
言って渡すと、ユキはびっくりして目を
ウルウルさせていた。

お弁当を作ってもらったのなんて
初めてだと感動したらしい。

施設での遠足なんかの時のお弁当は
いつもスーパーで売っている
助六弁当だったのだ。

その内お弁当袋に入れて渡すようになると
皆に冷やかされて恥かしいと言いつつ、
お弁当は楽しみにしているようでいつも
残さずきれいに食べてあった。

司法修習生になってもずっと幸はユキに
お弁当を持たせた。

お昼に食べに出たりコンビニなどに
買いにいく時間を考えるとお弁当が
一番時間を節約できるからだ。

そしていつも3時のおやつ用に
クッキーやフィナンシェ、スイートポテト
などを入れている。

前の日に時間がなくてスイーツを
切らしていて何も入っていないと、
がっかりして午後からやる気がなくなる
というユキに、子供みたいと言って
笑うと拗ねている。

だからなるべく時間のある時に色々
なクッキーを焼いておくようにしている。

ナッツ入りやチョコマーブルにしたり
ふわっと溶けてしまうようなほろほろ
の丸いクッキーとかユキはこの
アーモンドパウダーを使ったほろほろの
クッキーが大好きで日持ちもするので
幸の定番のクッキーになっている。

午後の休憩の時間に勉強しながら
それらを食べているユキを皆
羨ましがっているらしい。

結構お弁当派もたくさんいるという事だ。

年配の人も多いのだろう。

何度目かの挑戦で司法試験に合格した
人もたくさんいるのだから、年齢で
いえばユキが一番若いのだ。

その上に大学在学中に主席で司法試験に
合格したのだから有名人と言えば有名人だ。
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