私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない

ユキと幸

ユキこと刈谷周之(カリヤノリユキ)は幸の1歳年上の26歳で
弁護士をしている。

2人は同じ養護施設で育った。

シングルマザーのネグレクトでユキは
5歳の時に養護施設に保護されたのだ。

母親はいつものようにちょっと旅行に
行って来るからと言って、菓子パンを
3個ほど置いていったが、それはもう
2日で食べてしまった。

それでも5歳の子供にしてはまたいつ
帰って来るかもわからないので
結構節約して食べていたのだ。

食べるものも底をつき水で飢えを凌ぎながら
頑張っていたが、飢えはどうしようもなく
畳のイ草を齧っていたユキを近所の人が、
警察に連絡してくれて家に警官が来て
助けてくれたらしい。

ユキは施設に保護されて助かったと
思ったという。

ここではたとえ1食でもきちんと食事がとれる
ことは間違いないと安堵したという。

それが3食おやつ付きでお風呂にも入れて
服も清潔なものが着せてもらえたのだから
天国のようだったと後に幸に教えてくれた。

その後母親はどうなったのか今も分からない。

興味もないが…とユキは言っていた。

そしてユキが8歳になった時、幸は両親を
事故で失い親戚も引き取りを拒んだため7歳の
時に同じ養護施設に引き取られた。
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