私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
そこで二人は初めて会ったのだが、いつも
泣いてばかりいる幸を心配したユキがそばに
いて優しく慰めたり、泣く幸の涙をそっと
ぬぐってくれたりした。

ユキと違って幸は親子3人とても仲のいい
家族だった。

自分一人だけが取り残されたことが
悲しかったし、理解できなかった。

同じ車に乗っていて幸はちょっとした怪我で
済んだのだが、両親は二人とも即死だった。

そんな幸をユキは片時も離れず世話を焼いた

一緒に小学校にも通った。

1学年上で頭の良かったユキは幸に
勉強を教えてもくれた。

幸だけでなくユキは養護施設の皆から
ユキ兄と言って下の子供には慕われ
少し上の子供にも頼りにされていた。

幸はおとなしく顔もかわいかったので、
学校では女の子にはのけ者にされていた。

学校で上履きを隠されたり、机に落書き
されたり何かで班を作る時もいつも
幸はどこにも入れてもらえずに先生が
班を指定するのだった。

でも、ユキがいるから平気だった。
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