私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
ユキは初めての給料が出た時に、
中学一年生の時の弁護料を払うと言った
らしいのだが、伊藤先生は
“そんなものはいらない。ユキが弁護士に
なってくれてこの事務所に来てくれたんだ
おつりがでるよ”と言って笑っていたそうだ

伊藤先生も、ユキと呼んでいる。

だから、皆はユキと言う名前だと
思っているらしい。

事務所に行って一番驚いたのはユキが
刈谷先生と呼ばれていたことだ。

そうなのだ、ユキは弁護士の先生なんだと
その時初めて実感した幸は嬉しくて
涙が溢れそうになった。

ユキに”どうした?“と言われて、そう言うと

“青い瞳の俺のビーナスは最高に可愛いな”
と言って、会議室に連れ込まれて抱きしめて
キスされた。

そして、その後二人で施設に行って
院長先生に証人欄にサインをもらった。

いつも少しずつ施設には寄付をしているが、
訪れたのは久しぶりだった。

ユキは弁護士になった事何かあれば力に
なれるのでと院長先生に名刺を渡していた。

院長先生は”やっと結婚するのね“
と言って笑っていた。

婚姻届けを出すのを忘れていたと言ったら
びっくりしてまた大笑いしていた。

子供のころからずっと一緒でいつしか二人で
いることが自然になっていて、
そんな世間並みな事を忘れていたのだ。

思いもつかなかったと言ったほうが
いいのかも知れない。

一応プロポーズはしてくれたので
それで幸は十分だったのだ。
< 22 / 125 >

この作品をシェア

pagetop