私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
ユキも中学1年の時父親だという
男が突然現れた。

大きなグループ会社の社長だそうだが、
本妻の間に子供ができなくて昔囲っていた
女の事を思い出して、調査をさせてユキの
事を見つけたらしい。

ユキはそんな男の所に行くのは嫌だと
言ったが、向こうは弁護士を立ててきた。

ユキは自分も弁護士を立てると言って、
弁護士を探し回った。

伊藤一(イトウハジメ)という弁護士がユキの
弁護に立ってくれた。

未成年で中学1年生の子供の弁護に立つ
というのも大変な事だっただろうが、
伊藤弁護士は実の父親は今までユキを
探そうともせず、愛情の無い自分本位の
理由でユキを引き取ろうとしている事を
前面に押し出して戦った。

ユキはその弁護士に弁護料や着手金は
大人になって弁護士になったら必ず返します
と言ってとりあえず今手持ちのお金で
新聞配達や毎月のお小遣いで貯めたお金と
幸も小銭を足して5570円を
伊藤先生に渡した。

ほとんどが小銭だった。

先生はそれをガラスの瓶に入れて事務所に
飾っている。

初心を忘れない為だと言って…

刑事ではなく民事だったこともあり結局
ユキの父親は諦めたのだが、その後実は
本妻が妊娠したのが手を引いた理由
だったらしいと分かって、どこまでも
自分本位のクズな男なのだと呆れた。
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