私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
その時伊藤一弁護士に心酔したユキは必ず
弁護士の資格を取るので伊藤先生の所で
働かせてほしいと交渉していた。

伊藤先生はユキの聡明さに感心していたので
君なら一発で司法試験合格するだろうから、
楽しみに待っていると言ってくれたのだ。
ユキはまずは弁護士の第一歩として
希望の大学の法学部に合格した。

来年幸が施設を退所したら一緒に
暮らせるように大学まで自転車で行ける
距離で駅までも近い所を探して、築年数は
古いが中はリフォームもしてあって
それなりに小奇麗な1LDKの
アパートを借りた。

学生街だったので家賃もそれほど
高くなかった。

院長先生が保証人になってくれたので
退所した後すぐにそこに住めるようになった

大学に通い勉強をしながら家庭教師や夜は
工事現場で働きながら、幸が退所して一緒に
暮らせる日を心待ちにした。

1年後幸が退所して一緒に暮らし始めた。

幸はホテルのレストランで高校の3年間
バイトをしてそのホテルに正社員で
雇ってもらえた。

大学3年生の時に予備試験に合格する為に
ユキは2年生からは3人の高校生の家庭教師
だけのバイトにした。

後は幸が働いてユキを支えてくれた。

幸の為にも予備試験に合格しなければと勉強に
励むユキだった。

無事予備試験に合格し4年生には司法試験
にも合格した。

幸が働いて支えてくれたおかげだった。

司法試験に合格した時、ユキは幸に
プロポーズした。

その日は仕事が休みだった幸に一緒に結果を
見に行こうと言ったのだが怖くて行けないと
言って家で待っていた。

ユキは花屋で幸の瞳の色と同じブルー系の
花束を作って貰って家に帰ってきた。

そして膝まずいて幸に渡し

「青い(ヒトミ)の俺のビーナス一生大切にする
と誓う。どうか俺と結婚してください」

と言った。

幸ははらはらと青い瞳から美しい涙を流して

何度も頷いてくれた。

そしてその日二人は、本当の意味の恋人で
婚約者になった。
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