私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
幸もここが大通りなのを思い出した。

行きかう人が怪訝な顔で二人を見ている。

これはやばい本当に警察に
通報されてしまいそうだ。

幸は大きな黒縁の少し色の付いたダサい
眼鏡をかけてキャップをかぶっている。

髪の毛をキャップの中に押し込んで髪も
隠しているので、モデルのユキだとは
わからないだろうが、警察が来たら
身元もばれる。

幸は大急ぎでユキの手を取って
コンドミニアムまでユキを
引っ張っていった。

ユキは旅行鞄を持って幸についてくる。

そして今、コンドミニアムのソファーに
座ってきょろきょろと珍しそうに室内を
見渡しているユキに、最近はまっている
紅茶を出した。

ユキはありがとうと言って嬉しそうに
紅茶を飲んでいる。

このコンドミニアムは案外広くてキッチンと
ダイニングそしてリビングが一部屋に
なっていて寝室が別になっている。

別に特別素敵な内装ではないが、キッチンが
2コンロで少し大きめなので気に入ったのだ。

紅茶を飲み終わったユキが話し始めた。

「幸長い間待たせてごめん。
幸の事いつも気にしていた。でもこないだ
ドラマに出てきた時は驚いたけど…
裕美が数日前に村に帰ったんだ。
俺が幸しか愛せない事裕美の事は妹としか
見られない事がやっと納得いったみたいだ。
半年もかかったけれど俺もほっとした。
恵子さん、裕美の母親だけど亡くした裕美は
きっと混乱していて俺に依存して
いたんだと思う。村には幼馴染で泰樹という
優しい青年がいて裕美はたぶん彼と結婚
すると思う。恵子さんの1周忌が済んだら、
きちんと結婚式を挙げるように彼に言ったんだ
だから、俺はこうして幸を迎えに来れた。
伊藤先生に無理言って5日間の休みを
貰えたんだ。東京に帰ろう。俺の所に帰って
来てくれるよね」
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