鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
何度か美沙も連れて行った店なので、マスターがふたりの結婚を知っている。
だからその店で浮気はできないと言われたそうだ。
「疑われるようなことをしてるのか?」
思わず眉根を寄せると、「してない」と強めの口調で言われた。
「妻の妊娠中に浮気する夫がよくいるから気をつけろって、職場の同僚から言われたそうなんだ。まったく余計なアドバイスだよ」
(潔白なのに疑われたのか)
気の毒に思ったが、自分も同じだと気づく。
『あなたに女性が何人いても私は怒らないし、気にもならないわ』
絢乃と一緒に暮らし始めた日に食らった言葉だ。
それを思い出すと見方が変わり、友人の愚痴が惚気に聞こえた。
「愛されている証拠だろ。羨ましいな」
「まさかの意見だな。同じ男なのに同情してくれないのか?」
「俺は絢乃さんから、他に交際相手が何人いても気にならないと言われたが」
「それは……キツイな」
背中を叩いて逆に励まされた。
「お前たちはこれからだろ。結婚してから恋愛を始めるのもいいじゃないか」
(始めているのは俺だけなんだが)
「まぁな」と曖昧に答えて苦笑した。
和志に案内されて入ったバーは、古びた商業ビルの地下にあるテナントだ。
カウンター席が七つと四人掛けのテーブル席が四つあり、こぢんまりとしている。
テーブル席は学生の集団で埋まっていて、かなり盛り上がっていた。
カウンター席にひとりも客がいないのは、騒々しさから逃げて他の店に移動したせいではないだろうか。
だからその店で浮気はできないと言われたそうだ。
「疑われるようなことをしてるのか?」
思わず眉根を寄せると、「してない」と強めの口調で言われた。
「妻の妊娠中に浮気する夫がよくいるから気をつけろって、職場の同僚から言われたそうなんだ。まったく余計なアドバイスだよ」
(潔白なのに疑われたのか)
気の毒に思ったが、自分も同じだと気づく。
『あなたに女性が何人いても私は怒らないし、気にもならないわ』
絢乃と一緒に暮らし始めた日に食らった言葉だ。
それを思い出すと見方が変わり、友人の愚痴が惚気に聞こえた。
「愛されている証拠だろ。羨ましいな」
「まさかの意見だな。同じ男なのに同情してくれないのか?」
「俺は絢乃さんから、他に交際相手が何人いても気にならないと言われたが」
「それは……キツイな」
背中を叩いて逆に励まされた。
「お前たちはこれからだろ。結婚してから恋愛を始めるのもいいじゃないか」
(始めているのは俺だけなんだが)
「まぁな」と曖昧に答えて苦笑した。
和志に案内されて入ったバーは、古びた商業ビルの地下にあるテナントだ。
カウンター席が七つと四人掛けのテーブル席が四つあり、こぢんまりとしている。
テーブル席は学生の集団で埋まっていて、かなり盛り上がっていた。
カウンター席にひとりも客がいないのは、騒々しさから逃げて他の店に移動したせいではないだろうか。