鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
入口で和志にも相談するような視線を送られたが、店のマスターに「いらっしゃい」と声をかけられた。
「三条さん、今日はご友人と?」
「はい。中学からの付き合いで」
「へぇ、それは長いね。ご友人の方、今日はゆっくりしていってください」
「後ろが賑やかだけど」と小声で付け足し、マスターが笑った。
カウンターのドアに近い席に並んで座り、グラスビールを注文した。
つまみに出してもらったのはナッツとチーズだ。
冷えたビールが喉に気持ちいい。
唇についた泡を親指で拭った和志が、息をついた。
「絢乃、どうしてる?」
心配そうな口ぶりだ。
「俺が美沙の気持ちをわかっていなかったせいで、絢乃の居場所を奪ってしまったんだ」
「電話でも話したが、いつも通りだよ。彼女は強い。心配いらないと思うけど、気になるなら直接本人に連絡してみれば?」
「絢乃と連絡を取っているのを美沙に知られたくないんだ。追い出した形になったのを気にしていたからさ。隠れて連絡するのも避けたい。妊娠中な上に同居を始めたばかりだし、これ以上不安にさせたくないんだ」
いつも陽気な和志が神妙な顔をしている。
「聞いていると、お前の奥さんの方が心配になるんだが」
「大丈夫。両親は絢乃の話をしないように気をつけてくれているし、今は家族みんなで美沙を支えてる。ばぁちゃんがな……名前の呼び間違えだけはどうにもならなくて。でも美沙が、前より気にならないと言ってくれた」
「三条さん、今日はご友人と?」
「はい。中学からの付き合いで」
「へぇ、それは長いね。ご友人の方、今日はゆっくりしていってください」
「後ろが賑やかだけど」と小声で付け足し、マスターが笑った。
カウンターのドアに近い席に並んで座り、グラスビールを注文した。
つまみに出してもらったのはナッツとチーズだ。
冷えたビールが喉に気持ちいい。
唇についた泡を親指で拭った和志が、息をついた。
「絢乃、どうしてる?」
心配そうな口ぶりだ。
「俺が美沙の気持ちをわかっていなかったせいで、絢乃の居場所を奪ってしまったんだ」
「電話でも話したが、いつも通りだよ。彼女は強い。心配いらないと思うけど、気になるなら直接本人に連絡してみれば?」
「絢乃と連絡を取っているのを美沙に知られたくないんだ。追い出した形になったのを気にしていたからさ。隠れて連絡するのも避けたい。妊娠中な上に同居を始めたばかりだし、これ以上不安にさせたくないんだ」
いつも陽気な和志が神妙な顔をしている。
「聞いていると、お前の奥さんの方が心配になるんだが」
「大丈夫。両親は絢乃の話をしないように気をつけてくれているし、今は家族みんなで美沙を支えてる。ばぁちゃんがな……名前の呼び間違えだけはどうにもならなくて。でも美沙が、前より気にならないと言ってくれた」