鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
顔に熱が集中し、思わず目を逸らした。

こちらが照れることを真顔で言えるほど大人の彼だが、当時の少年の面影も感じる。

子供の頃を思い出したことで、昴への信頼が回復していた。

バーでのショックや腹立たしさはいつの間にか引いており、今は感情的になったのを申し訳なく思う。

「今日は怒ってごめんなさい。昴さんは私の気持ちを賭けにするような人じゃない。従兄が言いそうな冗談だとわかっているわ。友人関係を秘密にしていたのも、従兄のせいでしょ?」

昴がホッとしたように表情を緩めた。

「和志には、絢乃さんが自ら気づくまで黙っていようと言われたんだ」

「やっぱりそうなのね」

「だけど、隠す気はなかった。話しそびれて打ち明ける機会を失った、と言った方が合っている。和志の名前を出せば寂しくなるだろ? 君がまた三条家に行ける日が来たら言うつもりだった」

「気遣ってくれていたのね。それなのに私はあんな態度で……」

両手を膝の上に揃えて頭を下げる。

「本当にごめんなさい」

「いや、俺たちが悪いから謝らないでくれ。これ以上、誤解がないように話しておくと、和志は中学高校時代の陸上部の仲間だ」

当時、もっとも親しいつき合いをしていた友人のひとりだと話してくれた。

和志が言い訳していた通り十年以上連絡を取っていなかったが、先月偶然に再会したそうだ。

昨夜電話がかかってきて会う約束をしたらしい。

「絢乃さんの様子を聞かれたよ。大丈夫だと言っておいたが心配なようだ」

「そう……」

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