鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
注意をすると、『私を誰だと思ってるの? パパに言ってクビにするわよ』と脅してきたという。
他にも一年目の社員にコーヒーを淹れさせたり、書類を謝ってシュレッダーにかけたのに悪びれなかったり、いくら会長令嬢でもひどすぎるという報告だった。
(そこまで迷惑をかけているなんて。さすがに想像できなかったわ)
頭を抱えたい気分で腕時計を見た。
「十五分後に第二事業部に行くわ。妹には私から注意すると伝えておいて」
(私が言ったところであの子は反省しないけど)
それでも放置できない。
身内に甘すぎるという社員たちからの反感を少しでも抑えるために。
『唯華を頼むな』
先週、父からそう言われたので、絢乃が動くしかなかった。
(評価は忖度なしでするよう人事部にも言っておかないと。さすがに評価表を見たら、お父さんでも唯華の入社を考え直してくれる、といいけど……)
「用件は以上よ。下がっていいわ」
執務机の引き出しから頭痛薬の箱を取り出した。
妹のインターンシップ中は、常用することになりそうだ。
その様子を見つめているだけで、大野は下がらない。
「どうしたの?」
「もうひとつ、お伝えしたいことがあります。ご報告していいものかどうか、昨日から迷っていたのですが……」
はっきりしない話し方は、彼女らしくない。
「なんでも話して」
頭痛薬の箱から手を離し聞く体勢を取ると、大野が神妙な顔つきになる。
「昨日、社長が退社される時に――」
他にも一年目の社員にコーヒーを淹れさせたり、書類を謝ってシュレッダーにかけたのに悪びれなかったり、いくら会長令嬢でもひどすぎるという報告だった。
(そこまで迷惑をかけているなんて。さすがに想像できなかったわ)
頭を抱えたい気分で腕時計を見た。
「十五分後に第二事業部に行くわ。妹には私から注意すると伝えておいて」
(私が言ったところであの子は反省しないけど)
それでも放置できない。
身内に甘すぎるという社員たちからの反感を少しでも抑えるために。
『唯華を頼むな』
先週、父からそう言われたので、絢乃が動くしかなかった。
(評価は忖度なしでするよう人事部にも言っておかないと。さすがに評価表を見たら、お父さんでも唯華の入社を考え直してくれる、といいけど……)
「用件は以上よ。下がっていいわ」
執務机の引き出しから頭痛薬の箱を取り出した。
妹のインターンシップ中は、常用することになりそうだ。
その様子を見つめているだけで、大野は下がらない。
「どうしたの?」
「もうひとつ、お伝えしたいことがあります。ご報告していいものかどうか、昨日から迷っていたのですが……」
はっきりしない話し方は、彼女らしくない。
「なんでも話して」
頭痛薬の箱から手を離し聞く体勢を取ると、大野が神妙な顔つきになる。
「昨日、社長が退社される時に――」