鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
会議の合間にできる限り確認しているが、どんどん増える。

社長の他に八人いる取締役に任せればいいのかもしれないが、それができない性分だ。

手伝ってほしいと言いたくない。

ふと思い出したのは昨年の株主総会で、絢乃の社長就任が議決した時のことだ。

副社長は血縁関係にない五十代後半の男性で、社員や株主たちがいる前で肩をポンと叩かれた。

『社長就任おめでとう。あまり気張らず、なにかあれば相談に来てくれていいから。頑張って』

激励の言葉には聞こえず、侮辱に感じた。

当時の副社長には色々と理由をつけて社外に出てもらったが、あの時の恥ずかしさと悔しさは忘れられない。

彼に限らず、若い女性だというだけで見くびって横柄な態度に出る年配の男性が多いと経験上感じていた。

それもあって厳しい態度を取るよう意識している。

五分が経ち、ドアが控えめにノックされた。

「どうぞ」

入ってきたのは第二事業部の部長だ。

五十代前半の男性で、頭髪がやや薄い。

ドアを閉めてから深々と腰を折った彼に、近くまで来るよう指示した。

執務机の前に立った彼に厳しい視線を向ける。

「それでなにがあったの?」

「は、はい。実は――」

都内で建設中の高層マンションで近隣住人たちとトラブルが発生しているという。

自宅や店舗からの眺望が悪くなるという理由で建設中止を求めているそうだ。

「着工前に説明会を開いているはずよね?」

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