鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
「もちろんでございます。ですが苦情を想定していた範囲外の住人には、説明会を知らせていなかったものでして……」

説明会のチラシを配ったエリア外からの苦情ということだ。

裁判になったとしても眺望権を理由に建設差し止めにはならないが、世間への会社の印象は悪くなる。

だからこその説明会だと言うのに、一体なにをやっているのかと絢乃は眉根を寄せた。

「想定していた範囲外と言ったわよね? その想定は誰が決めたの?」

「それは、その、事業部内での通例に則ってと言いますか……」

「通例? 周辺の事前調査を個別にしていないわけ?」

「いえ、その、一応してはいるのですが――誠に申し訳ございません」

原因を追究されたくないのか、謝って済ませようとしている態度が余計に絢乃をいら立たせた。

「通例を作ったのは誰? それを許可したのは? あなたなの?」

「誠に申し訳――」

「原因を調査して報告しなさい。次は責任の所在。謝罪はそのあとで聞くわ」

今後の成り行き次第だが、もし建設中止となれば彼に責任を取らせるつもりだ。

有耶無耶で終わらせては統制が取れなくなる。

顔色をなくしている部長に厳しい声をかけた。

「法務部に連絡して。顧問弁護士と相談して対策を考えるわ。こういうのはマスコミが取り上げやすいから、その対策も。再度、住民説明会が必要になるけど、事前に計画書を私に提出すること。わかったわね?」

「承知いたしました……」

< 16 / 237 >

この作品をシェア

pagetop