鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
「その通りだから謝らないで。頭が痛い問題だわ」

大野を下がらせ、頭痛薬を服用する。

休んではいられず稟議書の確認を進めるが、並行して唯華について頭を悩ませる。

(第二事業部の社員に頭を下げた方がいいかしら)

妹が迷惑をかけて申し訳ない気持ちは強いが、社長の威厳が損なわれる気がして躊躇する。

唯華がワガママに育ったのは親のせいなのにと恨めしく思った。

父へのどろりと重たい負の感情が暴れ出しそうで、深呼吸をしてこらえる。

妹の面倒を見ろと言われたのだから今は黙って従うしかない。

いつか父をこの会社から追い出すまでは。

(冷静にならないと。ベストなのは唯華の入社を父が諦めることだわ。インターン中にあの子がどれだけ迷惑をかけたのか、詳細に記録しておくよう言っておこう)

それから数分して、稟議書の確認を中断した絢乃は腰を上げた。

忙しい中でズキズキと頭が痛むのをこらえて第二事業部へ足を運んだのだが――。

「インターン生の山城唯華さんは先ほど、頭痛がすると言って笑顔で早退しました。明日は休むそうです」

疲れ切った表情の指導担当の社員に不在を告げられ、溜息しか出なかった。



それから二日が経ち、今日は土曜日だ。

仕事の予定はない。

「絢乃さん、おはよう。寝過ごした」

時刻は九時になるところで、Tシャツ姿の昴がリビングに入ってくる。

セットされていない髪が寝ぐせでところどころ跳ねていた。

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