鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
「いえ、こちらこそ連絡もなくお邪魔してすみませんでした。絢乃さんと出かける予定がありますので、今日はこれで失礼します」

「そうか。今度、絢乃と三人で食事でもしよう」

見送ろうと立ち上がった父と昴が握手をかわす。

これで幕引きという雰囲気だが、絢乃は迷っていた。

(唯華の勤務態度も、言ってしまおうかしら)

まだインターン期間は終わっていないが、この一週間だけを見ても入社させない方がいいのは明らかだ。

それに昴が一緒にいてくれる今なら、父もあまり唯華をかばえないだろう。

「お父さん、私からも話があるの。これも唯華のことよ」

第二事業部の指導担当者からの報告を伝えると、父の眉間に深いしわが刻まれた。

「真面目に働いているという自己申告は嘘だったのか……」

これまで父の決定に従うだけだったが、昴がいてくれるので勇気を出して意見する。

「唯華に振り回されて社員が困っています。入社を考え直してください」

父が目を閉じて考え込み、数秒して渋い顔で言う。

「唯華はうちの会社に入れるつもりでいたから、他に就職活動をしていない。今からエントリーできる会社もあるとは思うが、対策不足で受からないだろう」

「それなら、卒業後は家事手伝いでいいんじゃないかしら?」

< 167 / 237 >

この作品をシェア

pagetop